兼任広報担当者向け広報基礎知識-7 広報ネタの発想法②

2017年度に『月刊総務』の「総務の引き出し(広報)」に、兼任広報担当者向けに、広報の基礎知識をご紹介する連載を寄稿しました。
内容を一部加筆・修正して掲載します。


第7回PRネタの発想法②

PRネタを見付ける考え方や発掘方法をは、以下の3つがあります。

  1. 発想法を活用する
  2. 埋もれているネタを見つける
  3. ネタをひねり出す

このうち、「1.発想法を活用する」は先月号でご紹介しました。今月は、2と3をご案内します。


埋もれているネタを見つける

埋もれているネタを探す最重要ツールはイントラネットです。

多くの会社で、イントラネットを導入していることでしょう。
イントラネットは、社員が社内の人に知って欲しいと思って多くの情報が掲載されています。
ネタの原石がたくさん。
閲覧権限を有する範囲の情報は、必ず「すべて」に目を通すべきです。
日々の仕事に追われて「時間があるときに見よう」ではなく、毎日、時間を決めてすべてに目を通しましょう。

部門ごとに閲覧権限が限定されていて情報にアクセスしにくい場合は、閲覧権限の付与を該当部門と交渉しましょう。

該当部門には、「社内外のPRネタになるのかを確認したい。勝手に社内外に発信するようなことはしないし、必ず事前に相談する」などと言えば、意外とすんなりとOKをもらえるものです。

情報のアクセス制限は、情報管理を徹底するために行われます。
多くの社員が、必ずしも業務上必要でない情報に接触できる状態は、情報漏えいの可能性が増してしまいます。
逆に言えば、広報の仕事は、多くの情報にアクセスできないと、何も始まりません。
業務上必要なのですから、正々堂々とアクセス権限を要求しましょう(もちろん社内ルールに則って手続きをしたり、理由書のようなものを作成してマネジャーに調整してもらったりする等の工夫は必要です)。

イントラ自体が情報共有ツールとして活用されていない、あるいはイントラを導入していない場合は、稟議や各種会議での審議・決裁事項を確認しましょう。


社内ぶらり歩き

イントラや稟議等の情報から、発信できそうなネタがいくつか見つかったとしましょう。

イントラであれば投稿者、稟議や会議情報であれば起案者や報告者が「情報源」になります。
ところが、実際には「よさそうなネタだな」と思っても、全部のネタを社内取材することは時間・労力を要して困難です。
また、社内取材に「及び腰」になってしまうこともあるでしょう。

そこでおすすめしたいのは、「社内をぶらつく」ことです。

情報源を頭の中に入れておき、食堂や廊下などオフィス内の至る所をぶらぶらします。

担当者とすれ違うたびに、「あの話、ネタになりそうですね。珍しいんですか?」などと話しかけていきます。

反応を見極めながら、相手が社外発信に対して乗り気であれば「詳しく聞かせてください。あとで日程調整のご連絡をします」と、ヒアリングに持ち込みましょう。

社内広報・社外広報問わず確実にネタを拾っていくことができます。
立ち話の際に、相手の反応や話の内容から、ネタになりえるのか取捨選択をしていくこともできます。

いわゆる「足を使う」ことが大切です。


社内アンケートも有効

兼任広報で時間がなく、こうしたネタ掘り活動をできない場合は、社内アンケートをして、「PRネタの有無」を聞いてしまいましょう。

社内広報であれば取り上げてほしいこと、社外広報であれば発信してほしいことをアンケートで尋ねます。
プロの新聞社や専門雑誌でも、企業向けにアンケートを実施して、その回答内容から取材先を固めていくこともあります。
大手企業であれば、働き方改革、ダイバーシティの取り組み等について、媒体からアンケートが来ることも多いことでしょう。
それと同じです。

社内アンケートをすると、数人でも提案してくれる人はいます。

提案してくれた人には、仮に「これはネタにならない・・」という提案内容だったとしても、必ずヒアリングをしましょう。
接点を持っておけば、その人の所属部署や知人などのネットワークを活用しやすくなるからです。

こうした「とりあえず社内アンケート」は、広報兼務者にとって、手っ取り早く情報が集まり社内人脈も拡がるので有効です。


PRネタをひねり出す

社内アンケートを一工夫することで、PRネタを「ひねり出す」こともできます。

とくに、広報に力を入れてこなかった会社の場合、「何かネタありませんか?」と尋ねても、社員の側はいったい何がネタになるのかイメージがわきにくいこともあります。

そこで、競合他社のプレスリリースや露出状況、ホームページコンテンツなどを見てもらいながら、「似たようなネタはありませんか」「もっと進んでいる取り組みはありませんか」という尋ね方をします

すると、より具体的で焦点が絞られたPRネタがたくさん出てきます。

カンの良い人は、競合と自社との違いを踏まえて、ネタの切り口をどうすべきかまで提案してくれます。

経験則では、企画系の部署の人が、切り口も含めた提案をしてくれる傾向があるように感じます。

企画系の人は、企画が実践されて成果が出て評価されますので、広報のためにネタを提供するのではなく、自分の成果創出につなげるために「広報を使う」という発想に結び付きやすいのだろうと思います。

こうしたネタのひねり出しは、丁寧な競合調査が必須。

この競合調査だけでも広報のヒントも多く得られます。

ぜひ実践していただきたいアプローチです。

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●ひとまずどんな人たちか会ってみたい場合

ちょっと話を聞いてみたい

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●もう少しどんな会社か知りたい場合

サービス(何をしてくれるの?)

特徴(他とどう違うの?)

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