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広報スキルアップ講座 想像力③(調整力)

2019年度に『月刊総務』の「総務の引き出し(広報)」に、広報の基礎知識をご紹介する連載を寄稿しました。
内容を一部加筆・修正して掲載します。

評価が高い広報パーソンは「調整力」があります。この調整力を支えているものが「想像力」です。広報の仕事を円滑に仕事を進めるために、調整場面で想像力を発揮しましょう。今号でポイントをご紹介します。

調整が得意な人の特徴

調整が得意な人は、調整時の「ラリー」のような連絡回数が少ないです。
身の回りで調整力がある人を思い浮かべてみてください。物事を決めにいくことができたり、落としどころを的確に見出したり、相手にうまくボールを預けたりできるのではないでしょうか。
端的に言えば「まるく収める」ことがうまい。調整に伴う連絡回数が少なければ、調整相手の手間も少なくなります。結果的に信頼関係が醸成されていきます。

調整上手さんの想像力発揮ポイント

調整のラリーを少なくするために、主に3つのことを意識しましょう。

具体的なイメージがわくように「社内報の原稿依頼」のシチュエーションで考えてみましょう。

編集部が取材・執筆するのではなく、他部署に原稿を依頼するものがあったとします。

企画趣旨、依頼範囲(原稿だけか写真撮影までお願いしたいのか)、原稿の型式(一般的な記事が良いのか、エピソードを紹介するようなものが良いのか)、撮影してほしい写真、提出期日等の基本的な項目は提示できている場合が多いでしょう。

調整上手さんは、これに加えて、原稿を依頼する段階から、初校・二校等の作業範囲を提示しておきます。
たとえば初校はレイアウト、原稿、写真、キャプションなどすべての修正希望をフィードバックするもの、二校は修正箇所を反映できているかを確認するものと定義しておきます。このようにすると、三校、四校、五校・・・といつまでも決まらなくなり修正を重ね続けるという事態を避けることができます。

一般的な原稿依頼は、「素材あつめ」にとどまっていることが多いです。一方の調整上手さんは、「できあがりまで」の時間軸で決めるべきこと・やるべきことを考えて、相手に対する依頼事項をもれなく提示します。

3つのポイントを振り返ってみましょう。決めるべきこと・やるべきことなどの全体像を洗い出すことは、仕事のたくさんの「点」(タスク)を出し切ることだと思ってください。必ず、仕事が完結するまでの「点」(タスク)を出し切りましょう。

調整を円滑に進めるためには、点のつながりや流れをイメージしたり、相手の反応を予想したりして、調整負荷がかからない「線」を設定する必要があります(この「線」が、調整や交渉におけるシナリオと言われるものです)。
この線に沿って、相手に情報を提示します。先ほどの社内報の原稿依頼の事例でいえば、三校、四校、五校といつまでも修正を繰り返してしまう事態を避けたいので、原稿の依頼段階から初校・二校の作業範囲を明確に提示しておく、とした箇所です。仕事が完結するまでの線を描き、その線は調整負荷がかからないようにするようにイメージするのです。

もちろん、現実には、設定した線のとおりに進まないこともある。これがポイントの3点目。たとえば初校後に、依頼した担当者から「初校で全部戻さないといけないことは理解しています。ただし、このままでは上司に確認できません。修正した二校を上司に見せて了解を得るので、二校で修正依頼がいくつか発生する可能性があります」という反応が出てくることも多いでしょう。
こちらからは「二校できっちりと上司と共有し修正希望箇所を全部出していただき、三校以上にならないようにしてほしい」と堂々と言うことができます。相手の事情をくみ取りつつも、依頼段階で完成までの作業の流れを明確に提示していたので、事態を丸く収めやすくなります。調整のラリーを少なくできるのです。

このように、最終的に調整負荷がかからないよう、必要な仕事、仕事の進め方、相手の反応を想像して、先回りして動けるようにすることが広報業務では不可欠です。調整力の基盤に想像力があることをご理解いただけたのではないでしょうか。

調整下手さんの注意点

一方、調整を苦手とする人は、自分で考えたり決めたりすることを嫌がる傾向があります。厳しい言い方をしてしまえば、主体性や責任感がない方が多いです

たとえば上司や記者、外部業者などから指示や依頼があったとしても、自分の責任範囲を小さくすることしか頭にない。
依頼の範囲内であれば相手の責任にできるので、自分の責任を回避できるため、相手の指示や依頼の範囲でしか物事をとらえないようにします。
指示や依頼の背景、仕事が完結する状態までを自分で思い描くことをせず、指示や依頼事項の小さな点だけを右から左に持ってまわるばかりになる。
せっかく、「できるだけラクをしたい」という効率的発想を持っている強みがあるのに、結果的に調整負荷が増してラクができない状態になってしまうのです。

自分がやるとなぜかいつも仕事がうまく進まないという感覚を持っている方は、仕事をラクなものにするためにも、調整負荷を軽減する想像力の3つの発揮ポイントを実践してみてください。役職の低さや自信のなさから責任範囲を小さくしようとすることの気持ちは理解しますが、実はその気持ちのせいで仕事がたいへんになっている場合があるので、勇気を出してみましょう。

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