~ビジネスパーソン1000人超のインターナル・コミュニケーション施策の接触・評価~
2026/4/1 株式会社タンシキ 経営・広報研究所
社内・社外広報のマネジメント・コンサルティングを行う株式会社タンシキ(本社:神奈川県川崎市、代表取締役:秋山和久)の社内シンクタンク「経営・広報研究所」は、全国のビジネスパーソン1,113名を対象に「社内広報の接触状況に関する実態調査」を実施、単純集計結果を速報としてまとめました。
| 調査概要 調査目的:社内広報活動における受信側(従業員)の接触実態の把握 調査期間:2026年2月25日 調査方法:インターネット調査 調査対象:現在就労中の常勤役員または正規雇用者(全国) 有効回答数:1,113名 主な属性: ・製造業23.0%、建設・不動産10.0%、医療・福祉9.9% ほか ・従業員数99人以下36.7%、100〜999名28.7% ほか |
1.背景
働き方の多様化やリモートワークの定着により、企業内での「コミュニケーション不足」や「エンゲージメントの低下」が課題となる中、経営層と従業員をつなぐ「社内広報(インターナル・コミュニケーション)」の役割が見直されています。
社内広報(インターナル・コミュニケーション)は、「社内」向けの施策のため、施策の接触状況や評価を会社の中で従業員に尋ねるアンケートを実施することはあっても、他企業と比較可能な一般的な水準・目安となるデータを得にくい状況にあります。そこで株式会社タンシキは、社内広報施策を受信する側である従業員の閲覧状況の実態や評価を明らかにするため、本調査を実施しました。
2.調査結果のポイント
- 社内広報は「実施すれば約8割」が読んでおり、完全な無関心層は少数派
- 閲覧理由は「会社の経営方針を知りたい」(35.8%)、「業務に必要な情報が得られる」(35.1%)がツートップ、娯楽目的ではなく「実利」を求めている
- 見ない理由のトップは「忙しい」(35.9%)、「つまらない」(30.1%)。情報の「タイパ(時間対効果)」と「自分事化」が課題に
3.調査結果の概要
①社内広報のインフラは一定のリーチ力を持つ。実施されていれば約8割が接触
勤務先で実施されている社内広報施策を尋ねたところ、「社内掲示板・イントラネット」(39.4%)「Web社内報」(34.6%)「社長・役員講話」(32.3%)が上位となりました。 さらに、それらが実施されていると回答した人に対し閲覧頻度を尋ねたところ、主要な施策において「毎回必ず見る」「たまに見る」を合わせた接触率がおおむね80%前後に達しました。匿名の調査でありながら「全く見ない」という層は1割未満にとどまっており、社内広報は発信さえすれば確実に従業員へリーチできるインフラであることが確認されました。
②従業員は「役立つ情報」を求めてアクセスしている
社内広報を閲覧・活用している理由を尋ねたところ、第1位は「会社の経営方針やビジョンを知りたいから」(35.8%)、僅差で第2位が「業務に必要な情報が得られるから」(35.1%)となりました。一方で、「気分転換・コンテンツとして面白いから」(15.1%)などの娯楽的な理由は下位にとどまりました。 従業員はエンタメとしてではなく、「会社の方向性を知りたい」「自分の業務の役に立てたい」という建設的な知的好奇心から社内広報にアクセスしていることがわかりました。
③離脱の原因は「忙しさ」と「つまらなさ」
逆に、社内広報を「あまり見ない・全く見ない」と回答した層に理由を尋ねたところ、「業務が忙しく、見る時間がないから」(30.9%)と「内容がつまらない・興味が持てないから」(30.9%)が上位を占めました。また、「内容が自分には関係ないと感じるから」(18.6%)という声も多く挙がっています。 情報を求めているものの忙しくてアクセスできない層や、全社一律の情報発信に対して「自分には関係ない(つまらない)」とシャッターを下ろしてしまう層の存在が浮き彫りになりました。
④社内広報は「視野・視座を得ること」に貢献している
社内広報に触れることで生じた自身の意識や行動の変化を尋ねると、「他部署の業務内容や、会社全体の動きがわかるようになった」(22.7%)、「会社の経営方針や将来のビジョンへの理解が深まった」(21.8%)「業界動向や競合他社についての知識が増えた」(13.7%)が上位となりました。社内広報が、組織内外の視野拡張や、経営と現場の目線合わせを行う視座の獲得手段として機能していることが確認できました。
4.専門家の考察(株式会社タンシキ 代表取締役 兼 経営・広報研究所長 秋山和久)
●調査結果のポイント
今回の調査で、社内広報の接触状況や評価に関する「一般的な水準」が明確になりました。大部分の従業員は真面目に会社の情報を取りに行こうとしていることがわかりました。しかし、現場は常に多忙です。今後の社内広報においては、ただ情報を羅列するのではなく、いかに結論を素早く伝えるかという「タイパ(時間対効果)」の視点や、会社の方針が現場の業務にどう結びつくのかを翻訳して「自分事化」させる編集力が、これまで以上に求められます。
●今後の社内広報に向けた提言
「伝える・伝わる」から「使える」へ
会社の方針(知るべきこと)を伝える・伝わるようにすることに加えて、現場の社員が明日から業務で使える武器(知恵)に翻訳が必要です。経営課題と解決策の関係整理など、経営の思考プロセスを共有するようにしましょう。
「読ませる・読みたくなる」から「読み込まなくてもよい」へ
忙しい現場層に「全文を熟読してもらう」「動画の離脱率を下げる」ための努力を手放す発想の転換が必要です。重要情報のプッシュ通知や、結論ファーストの3行サマリーなど「パッと見を認める」ための努力をしていきましょう。
「情報・交流インフラ」から「育成インフラ」へ
実施すれば約8割にリーチできる力を活かし、社内広報を、8割の従業員の新たな視野・視座獲得を促す育成手段として再定義しましょう。人的資本経営の実践基盤として内容・機能の見直しを図っていきましょう。
●今後の調査
多くの企業で若年層や職位が低い層へのアプローチに対する課題感がありますが、今回の調査では、こうした層への解像度を高めた分析は不十分です。今後も継続して調査を実施していきます。
5.調査レポート
単純集計結果をまとめたレポートは以下のURLから参照できます。
https://tanshiki.jp/wp-content/uploads/2026/03/internal_communications_survey_20260401.pdf
※本調査データを引用・転載される際は、「株式会社タンシキ調べ」の旨を明記してください。