社内広報の接触状況に関する実態調査(最終版)

~インターナル・コミュニケーションの現状と活性化策を実態調査から導き出す、調査でわかった「良質な社内広報」の新たな一面とは~

2026/6/1 株式会社タンシキ 経営・広報研究所

社内・社外広報のマネジメント・コンサルティングを行う株式会社タンシキ(本社:神奈川県川崎市、代表取締役:秋山和久)の社内シンクタンク「経営・広報研究所」は、全国のビジネスパーソン1,113名を対象とした「社内広報の接触状況に関する実態調査」の分析結果を「最終版」にまとめました。

本調査は、社内広報(インターナル・コミュニケーション)に対する従業員側の接触状況という一般的な水準を得る目的で実施。一般的な水準となるデータを多数把握できたうえ、詳細な分析の結果、社内広報(インターナル・コミュニケーション)の実践的な改善策や、「良質な社内広報(インターナル・コミュニケーション)とは何か」がわかりました。また、報告書には、調査・分析結果を踏まえて改善すべき点がないかを「セルフチェック」するチェックシートを所収していますので、ぜひ活用してください。

発表概要

  • 社内広報の一般的な水準:全体の「社内広報の実施率」は56.8%であり、企業規模や業績、従業員定着状況が良い企業ほど実施率が高い傾向にあった。施策が実施されている環境下では、匿名調査にもかかわらず無関心層は2割程度にとどまり、約7割以上が情報に接触していることが判明。閲覧理由は経営方針の理解などの「実利」が主体である一方、非閲覧の主因は「忙しさ(タイパの悪さ)」と「内容のつまらなさ(クリティカルな品質不足)」に集約される
  • 読まれない原因と具体策:企業規模別に改善のポイントを提示=小規模(無理に施策を増やさず朝礼等の既存武器を「ストック・辞書」として深掘り)、中規模(サイロ化を防ぐ「血の通った知恵袋」へと磨き込む)、大規模(情報過多を排し「3行サマリー」等で“パッと見”に対応)。役職別では、マネジメント層(課長)には部下への説明用のまとめやスクリプトを配布して翻訳コストを削減、次世代リーダー層(係長)へは成長意欲を刺激する情報、受動的な一般社員層へは冒頭で「情報を受信する理由(メリット)」をガイドする。接触率向上には「業績・新製品・業界動向」といった実務情報をタイムリーに供給し、態度変容(エンゲージメント向上)には、方針(頭を満たすハード情報)と社員ストーリー(心を繋ぐソフト情報)を掛け合わせて編集する
  • 社内広報の新たな価値:良質な社内広報は、従業員のリスク感知力を底上げする「育成システム」として機能するほか、心理的安全性の向上・感情的報酬の付与を通じ報告文化(声上げ文化)を醸成、経営層への信頼貯金により危機に一致団結して対応する「組織のレジリエンス強化」に直結することがわかった
  • 明日から使える実務ツール:会社都合のプロパガンダ的発信から脱却し、社内広報(インターナル・コミュニケーション活動)の改善に繋げるための「実務直結セルフチェックリスト」を収録

調査概要

調査目的:社内広報活動における受信側(従業員)の接触実態の把握
調査期間:2026年2月25日
調査方法:インターネット調査
調査対象:現在就労中の常勤役員または正規雇用者(全国)
有効回答数:1,113名
主な属性:
 製造業23.0%、建設・不動産10.0%、医療・福祉9.9% ほか
 従業員数99人以下36.7%、100〜999名28.7% ほか

背景

働き方の多様化やリモートワークの定着により、企業内での「コミュニケーション不足」や「エンゲージメントの低下」が課題となる中、経営層と従業員をつなぐ「社内広報(インターナル・コミュニケーション)」の役割が見直されています。 社内広報(インターナル・コミュニケーション)は、「社内」向けの施策のため、施策の接触状況や評価を会社の中で従業員に尋ねるアンケートを実施することはあっても、他企業と比較可能な一般的な水準・目安となるデータを得にくい状況にあります。そこで株式会社タンシキは、社内広報施策の受信者である従業員の閲覧状況の実態や評価を明らかにするため、本調査を実施しました。

報告書(最終版)の構成

・はじめに・・・調査目的を記載
・調査概要・・・調査の実施概要を記載
・サマリー・・・調査結果や分析・考察結果のサマリーを記載
・調査結果
 ①実践編(社内広報の一般的水準/既存の活動のカイゼン策)
 ②改革編(調査でわかった「良質な社内広報」の新たな一面)
 ③今後に向けて(すぐに実践できるセルフチェック)

分析担当者のコメント(株式会社タンシキ 経営・広報研究所長 秋山和久)

今回の調査データから、良質な社内広報(インターナル・コミュニケーション)は、組織全体の危機・変化対応力を高める「レジリエンス強化」を担うことが浮き彫りになりました。

企業規模の拡大による課題(いわゆる成長痛)や、先行きの見えない事業環境の変化に直面したとき、経営層と現場を繋ぐ「透明性の高い公式チャネル」がなければ、たちまち組織の分断危機に陥ります。第一歩として、自社の発信が「プロパガンダ」になっていないかを見直すことから始めてみませんか? セルフチェックシートを調査報告書に所収しているので、ぜひご活用ください。

調査報告もチェックシートも、無料とは思えないクオリティだと自負しています。本報告書を通じ、社内広報の価値や新たな一面が腑に落ちて胆識(タンシキ)となり、従業員が躍動し変化に強いカルチャーを育む組織が増えることを期待しています。

社内広報担当者は、自分たちの仕事の意義を本気で信じ、仕事の価値をより一層高めるべく挑戦していきましょう。社内広報は、最も確実でレバレッジの効く、経営の「投資」なのです。

調査結果/分析・考察結果のポイント

●社内広報(インターナル・コミュニケーション)の一般的水準

実施と接触の傾向

  • 一般的な社内広報施策を10個提示し、勤務先で実施されているかを尋ねた結果、どれか1つでも実施されている「社内広報の実施率」は全体で56.8%だった
  • 企業規模が大きい、拠点数が多い、業績が良い企業ほど実施率は高い傾向にある
  • 実施されている施策について、接触状況を尋ねた結果、約7割以上の接触率の施策が多かった(匿名調査にも関わらず無関心層は2割程度だった)
  • 冊子社内報は廃止傾向にあるが、他の施策と比較すると接触率は高い傾向(冊子社内報を含めて、プッシュ型の施策は接触率が高い傾向)

閲覧と非閲覧の理由

  • 閲覧理由は「会社の経営方針やビジョンが知りたい」「業務に必要な情報が得られる」など、実用的な項目が高い
  • 非閲覧理由は「忙しくて見る時間がない」「内容がつまらない」というタイパや内容の問題が主体だが、非閲覧率が高くなる理由は企業の規模や、業績・従業員定着率の状況によって異なる

態度変容

  • 社内広報を通じた変化は、「経営方針の理解」「会社全体の動きの理解」「業界動向・競合他社の知識獲得」が多く、モチベーション向上や社内コミュニケーション活性化は限定的

●既存の活動のカイゼン

企業規模別の情報流通のカイゼン策

  • 【小規模】実施率・接触率・閲覧率が低い傾向にあるが、これを悲観して無理に施策を増やす必要はない。「情報共有」(フロー)ではなく公式記録として蓄積する「辞書」(ストック)と定義してカルチャーのコンテンツを増やす。全社総会の場での表彰に限定せず公式メディアを通じて目に見える形で従業員にスポットを当てる
  • 【中規模】「形式的で役に立たない」という課題に対応するため部署間のノウハウを繋ぐ「血の通った社内広報」になるようにクオリティを磨き込む
  • 【大規模】情報過多による「面倒くささ」を払拭する。「いかに熟読させるか」という発想に加えて「いかにパッと見で終わらせるか」という選択肢を持つ。ハード情報×ソフト情報の組み合わせで自分ゴト化を促進

役職別の情報流通のカイゼン策

  • 【役員を含む部長層以上】従業員の生の声を忖度なく届ける
  • 【課長層】職制ルートの落とし込みが、課長層から下には熱量がなく杓子定規になっている可能性があるため、課長層に対して、部下に伝えるための材料(要点まとめ等)を提供して説明にかかる手間暇を軽減
  • 【係長層】業界動向など次世代リーダーとしての成長意欲を刺激する情報を提供
  • 【一般社員層】全体的に情報の受信が受動的なため「受信すべき理由」をガイドし情報感度を向上

コンテンツのヒント

  • 【接触率アップ】業績、新製品・サービス、業界動向など実務的な情報を「タイムリー」に扱う
  • 【態度変容の促進】活躍する社員を多く紹介し感情的報酬を供給/方針(知的好奇心を満たす)とストーリー(心を繋ぐ)/目的にあったテーマを発信

●良質な社内広報(インターナル・コミュニケーション)とは

従業員の視座・視野獲得を促す育成システム

  • 社内広報への接触は、従業員の「経営の視座」や「社内外の視野」の獲得につながっていることがわかった
  • 社内広報は、現場に役立つインテリジェンスを提供することで、従業員のリスク感知力を強化する育成システムとして機能することがデータで裏付けられた

感情的報酬を付与するシステム

  • 業績等のハード情報だけでなく、社員にスポットライトを当てるソフト情報を組み合わせて、ハード情報とソフト情報の両方の接触を促す良質な社内広報によって所属意識やモチベーションなど感情面のスコアが高まることがデータで確認できた
  • 会社の代表者である社内広報担当者が取材したり、会社の公式媒体で紹介することは、社員に「会社はあなたの努力を見ている」という感情的報酬を付与するもの
  • 存在承認は心理的安全性の重要な要素のため、良質な社内広報は心理的安全性を下支えしている、換言すると、重大トラブルを防ぐ報告文化(声上げ文化)を下支えしていることがわかった

信頼貯金を蓄積するシステム

  • 情報発信量の十分な確保や透明性の高い開示は、経営層に対する信用・信頼を高める
  • 平時から蓄積された「信頼貯金」がある組織では、有事の緊迫した状況下でも経営陣の意図が正しく解釈され、対応スピードが向上

●社内広報の新たな一面

社内広報が目指す姿(ひとつの選択肢)

  • 単なる情報共有にとどまらず、組織全体の危機・変化対応力を高める「レジリエンス強化」として機能する状態を目指したい
  • 重大トラブル発生時に迅速に正しい情報が流通し、少ない情報でも一致団結して対応できる組織風土づくりに向け、社内広報と危機管理広報を連動させたい

社内広報が避けたい姿

  • 有事の際に憶測・デマの蔓延や組織の分断につながる、都合の悪い事実を隠し会社都合の建前を押し付け、従業員の不信や情報の拒絶を招く社内広報は避けたい
  • プロパガンダ的な社内広報は避けたい(逆効果になってしまうため、それを実施するぐらいなら思い切って社内広報を止める勇気を持つことも必要)

社内広報の接触状況に関する実態調査(最終報告書)

調査報告書では、上記サマリーの詳細データに加え、自社の現状を点検できる「実務直結のセルフチェックリスト」や「効果測定の5つのアプローチ」を収録しています。

https://tanshiki.jp/wp-content/uploads/2026/05/tanshiki-internal-communications-survey-20260601.pdf