広報スキルアップ講座 文章力④

2019年度に『月刊総務』の「総務の引き出し(広報)」に、広報の基礎知識をご紹介する連載を寄稿しました。
内容を一部加筆・修正して掲載します。

広報業務で必要な文章力の構成(図)に沿って、スキルアップの方法をご紹介しています。前回までは、情報を受信する段階では常に客観性が必要、次に、受信した頭の中にある情報を相手に伝わるように「翻訳」することが大切といった内容でした。一般的な「文章力」のイメージとは異なるものだったはずです。

みなさんは学校教育で文章を作成する機会は多くあったはずです。ところが、学校教育の文章作成は生活指導の要素を多分に含んでいます。文章作成の段階を意識して習った人は少ないでしょう。その意味では、社会に出るまで文章作成をしっかりと習った人は少なく、魅力的な文章は書けなくて当たり前のことなのです。

広報業務で必要な文章力は、決して「スラスラと書ける」ことを目指すものではありません。「スラスラ信仰」はやめましょう。表現したいことと向き合い、文章と向き合う。正しく情報が伝わるように(情報の受け手と共通認識ができるように)、細部までこだわりぬいて文章を書く。今号では、細部までこだわりぬくための表現技法のポイントを押さえておきましょう。

広報で必要な文章力~表現技法

いよいよアウトプットの段階です。この最終段階では、大きく3つのフェーズがあります。

  1. 文章を書くときに意識したいこと
  2. 文章を磨きこむときに意識したいこと
  3. 校正のときに意識したいこと

それぞれ確認していきましょう。

文章を書くときに意識したいこと

一般的に「文章の書き方」と言われるものです。この基本を徹底しましょう。文章力に関する本は数多ありますので、詳細は本に譲ることとし、ここでは広報の仕事でとくに意識したい3つに絞ってポイントをご紹介します。

  • 一文を短くする

一文が長くなると、読み手が混乱しやすくなります。いつのまにか主語と述語が呼応しなくなっていたり、情報量が多くなって言いたいことが埋もれてしまったりします。一文はできるだけ短くしましょう。

  • 事実と意見を分ける

広報業務では、魅力を表現しようと思うあまり、事実と意見が混ざった文章を書いてしまいがちです。注意しましょう。事実と意見が混ざった文章は、読み手が共感しにくくなったり、魅力が伝わりにくくなったりします。

たとえば、「多くの研究者が推薦しているこの教科書は五千円と安かった」という文章があったとします。教科書が五千円だったという事実と、自分にとっては安いと思ったという意見が混ざっています。内容を問わず本が五千円すること自体を「高い」と思う人もいるでしょう。その人にとっては、共感できません。

事実と意見を分けてみましょう。「この教科書は多くの研究者が推薦している。値段は五千円だった。内容が充実していて参考になったので安いと思った」という表現にするといかがでしょうか。多くの研究者が推薦しているという事実。5千円したという事実。自分にとっては内容が充実していて値段以上だったという意見。事実と意見を分けることで、魅力が伝わりやすくなるのです。

  • 修飾語の並べ方

 商品やサービスの魅力を表現する場合、修飾語が複数になることがあります。この場合、修飾語の並べ方を工夫しましょう。具体的には、長い修飾語から短い修飾語にすると、読み手が情報を受け取りやすくなります。

たとえば「新しい会員向けのA社でデザインされたスーツです」という表現があったとします。「新しい」が「会員」と「スーツ」のどちらのことを指しているのか分かりにくいですね。このような場合、長い修飾語から短い修飾語の順番に変えてみましょう。「A社でデザインされた会員向けの新しいスーツです」。このように修飾語の並べ方を意識すると、特長が伝わりやすくなります。

文章の磨き込み

 文章は、一部を削ったり、文章の構造そのものを組み立て直したり、磨き込む作業をしましょう。一般的に編集や推敲と言われる作業です。ここでは、印を付けながら文章全体をしっかりと読み直す方法をおすすめします。具体的には、文章を読みながら主語、述語などに以下の印を付けます。

・主語=〇で囲む

・述語=線を引く

・接続=□で囲む

・名詞・もの・こと=< >で囲む

・強調=~を付ける

印を付けながら読むと、強調すべきポイントを強調できているか、文章全体の構造に違和感がないか、文章と文章の接続で論理破綻がないか等を確認できます。

校正するとき

 誤字・脱字を確認する校正は、「読み直し」ではなく「間違い探し」をするものです。誤字・脱字の漏れが多い人は、「流し読み」で満足してしまっている場合が多いです。読み直すことと誤字・脱字がないかをチェックすることは姿勢が大きく異なります。最低でも「黙読」(声を出さずに読むこと)、できれば「音読」(声に出して読み上げること)をしましょう。音読すると、誤字・脱字のチェック漏れを減らすことができます。一文字一文字読み上げながら、校正しましょう。