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広報で使えるフレームワーク②|社員の抵抗を管理するチェンジマネジメントモデル

2020年度に『月刊総務』の「総務の引き出し(広報)」に、広報の基礎知識をご紹介する連載を寄稿しました。内容を一部加筆・修正して掲載します。

広報の実務に活かせる経営・組織分野のフレームワークやチェックリストなどの「ツール」を毎回、紹介しています。今回は、組織変革(社員の意識改革)で活かせるフレームワークをご紹介します。

近年、増えている社内広報の相談

 近年(連載当時の2020年時点)、社内広報の領域で「社員の意識変革」や「組織変革」のご相談が増えています。前回ご紹介した組織の発展段階モデル(図表1)でいえば、「再活性化の必要性」という踊り場状態です。お客さまからは、社員が自分の仕事に視野狭窄している、現場の最前線の社員にイノベーションのマインドがない・・・などの課題をお伺いします。端的にいえば社内広報で「組織変革を後押ししたい」という内容です。

 組織変革の打ち手は、経営戦略・計画の見直し、組織再編、人事評価制度改訂、行動指針の策定・浸透、分社化・M&Aなど数多あります。一般的に、経営企画や人事部門が中心になって進めます。

こうした組織変革に対して、社内広報が貢献できることは間違いないでしょう。ただし、社内広報が「プロパガンダ」のようにならないように、注意すべきです。

 社内広報は、「情報を武器にした活動」です。変革の取り組みを丁寧に紹介したり、ロールモデルを紹介したりすることで、社員の意識に働きかける効果は期待できます。ただし、現実問題として、社内広報が組織再編や人事評価制度と同じ程度のインパクトを持てるでしょうか? 社内広報はあくまでも情報を武器にした活動なので、情報の受け手である社員が受容することを常に意識する必要があります。単に情報と言う武器を振り回しても、空振りし続ける結果になっては意味がない。「社員の視点を持つ」という社内広報の原理原則を踏まえて、組織変革を後押ししていくことが必要です。

社内広報で組織変革を後押しするヒント

組織変革は、多くの研究者がフレームワークに整理しています。有名なものは、社会心理学 の父といわれるクルト・レヴィンさんや、ハーバード大名誉教授のジョン・コッターさんの組織変革プロセスです。

レヴィンさんは、変革プロセスを3段階に分けました。変革の必要性(危機意識)を社内に浸透し、そのうえで変革を進め、定着化するという3ステップです。

コッターさんはさらに細かく、危機意識を啓発したうえで、変革を推進するチームを社内につくる、そのチームで変革のビジョンをつくる、ビジョンに基づいて実行し成果を出すなどの8段階に分けています。これらは、企業側の視点から、変革の進め方を整理したものです。

 先ほど、社内広報は情報の受け手となる社員が受容しなければ意味がないとお伝えしました。このため、社内広報で組織変革を後押しするためには、社員の受容についてヒントが得られる枠組みが好都合です。いわば強制的に社員目線を持てる、社員側の視点が加味されたフレームワークがあると良いですよね。

 そこで、『組織を変える基本~変革を成功させるチェンジマネジメント』という本で、ジェフリー・ラッセル&リンダ・ラッセル両氏の枠組みを紹介します(図表2)。上段に会社視点での変革プロセス、下段は各プロセスでの社員の心理状態を示しています。社員の抵抗を管理する視点が加味された組織変革モデルは、ほかに見当たりません。

 まず、会社として変革の必要性を啓発する段階。社員の多くはこれまでの実績と成功体験をもとに「快適」な状態にあります。社員の快適状態を考慮して、まずは過去の成功を認めることが大切です。そのうえで、なぜ変革が必要かデータを用いたり、変革できなかった場合のシナリオを提示したりします。得てして、変革のスタートを切る段階に、社内報で変革の必要性をトップが訴える特集を組みがちです。過去の成功事例を紹介すると、社員の快適な感情に寄り添い抵抗をコントロールできます。危機意識(ネガティブな感情)だけではなくポジティブな感情を刺激するのです。

 次に、変革プランを導入(着手)する段階。社員は恐れや怒りなどの「抵抗」を抱きます。ここでは社員の不安感情に耳を傾けたり、怒りを受け入れたりすることが大切です。社内報でアンケートを行っても良いでしょう。

 次は変革プランの進捗管理をする段階。社員は次第に変革を受け入れ始め、自分たちなりに創意工夫するなど「探求」し始めます。変革の具体的な取り組みを共有すると良いでしょう。ここでは、探求を後押しする必要があるので、成功事例だけでなく失敗事例にも焦点を当てましょう。

 変革を安定・維持する段階になれば、社員は「受容」してます。ここでは、社員の努力を労い、具体的データで変革の成果を実感できるようにしたりします。 社内広報がプロパガンダだと思われないように、社員の感情を考慮したフレームワークを活用してみてください。

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