誌上セミナー
収入増を実現する産学連携の戦略的広報
意思決定の第二段階は情報探索
問題を認識していない消費者は購買を考えませんので、購買のプロセスは第一に問題認識がありました。
問題を認識した消費者は、情報を探索します。
どのような製品・サービスなのか、詳細を知ろうとする訳です。
では、産学連携の情報開示に置き換えてみましょう。
なんらかの問題を認識している企業は、次のステップとして「情報探索」に入ります。
企業からすると、現在は、各大学を個別に調べなければいけない状態にあります。
地域の連携機関が間に入って機能することもありますが、連携機関に協力を仰ぐことのイメージをもっていない企業からすると、各大学にコンタクトを取らなければいけません。
地域によっては大学の研究成果をポータルサイトのようにして発信しているところもありますが、必ずしも充実しているものばかりではありません。
この部分は地域レベル(メゾ)の問題ですので、大学のミクロの問題に焦点をあてましょう。
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従来の産学連携広報はターゲット訴求に最適な形
誌上セミナーの別の回で、「稼ぐ産学連携」はBtoBに近いと述べました。
連携機関と産学連携コーディネーターの人脈、研究者と企業との人脈、産学連携コーディネーターと研究者との人脈など、産学連携は人脈がベースとなります。
また、「ターゲット」を対象にした広報活動では、展示会が「飛び道具」のようになりサマリーを訴求するのに対して、ターゲットに直接的に訴求するには新技術説明会や、ワンストップ窓口が有効という声が多くあります。
「ターゲット」に対するプロモーション活動も、BtoBに近いと言えるでしょう。
以下の図は、生産財(BtoB)と消費財(BtoC)の市場でのプロモーション手段の比重を概念化したものです。
「ターゲット」に対するプロモーションは、人脈やワンストップ窓口という人的販売や、人的販売と販売促進活動の中間的な新技術説明会に比重が置かれ、販売促進活動としての展示会、パブリシティやWebサイトの比重がやや下がってくる、と考えられます。
つまり、従来の産学連携広報は、「ターゲット」への訴求、情報探索として最適な形に落ち着いているのかもしれません。
オーディエンスへのアプローチが足りない?
マーケティング・コミュニケーションでは、オーディエンスとターゲットを分ける考え方があります(嶋村、1998)。
ターゲットは、購入する可能性のもっとも高い人たちと言えます。
一方で、別の回でみたように、問題を明確に認識できていて産学連携を進めようという意思がはっきりしている企業は必ずしも多くなく、収入増を実現するには問題の認識を促し、ターゲット以外への訴求が必要になります。
ターゲットよりは購入する可能性は低いものの、アプローチ次第で購入する可能性を高めることができる人を「オーディエンス」と考えると分かりやすいでしょう。
嶋村は、「広義」のオーディエンスの例として流通業者、販売員、ターゲットが購入に際してアドバイスを求める人たち(家族、友人、知人、医師、教師など)、特定のメディアの編集者・記者を挙げています。
こちらは、間接的に購入にかかわる人たちと言えます。
つまり、ターゲットではない人へのアプローチを進めて、問題認識を促してオーディエンスを増やしたのであれば、オーディエンスの情報探索に応えることができれば、より一層、企業から選ばれやすくなるのです。
狭義・広義のオーディエンスへのアプローチはできていますか?
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他との違いを提示
オーディエンスは持っている情報が少ないので、意思決定につながるできるだけ多くの情報を先回りして提示すると有効です。
- なぜあなたの大学・研究機関を選ぶのでしょうか?
- なぜあなたの大学・研究機関の設備を選ぶのでしょうか?
- なぜあなたの大学・研究機関の施設に入居するのでしょうか?
唯一無二、オンリーワンでなくても良いです。
たとえ、他と大きな差がなくても、ちゃんと提案をすることが大切なのです。
提案しないと何も伝わりません。
ベネフィット(得られること)を提示
また、消費側のベネフィットの提示もお忘れなく。
たとえば、設備そのものには他と違いがないのであれば、利用方法をサポートするので安心といった情緒的ベネフィットや、他の設備も多く保有しているので1度利用すれば情報収集の手間が省けるといった機能的ベネフィットの訴求をしていくことで、オーディエンスに伝わりやすくなります。
情緒的ベネフィットと機能的ベネフィット、あるいは解消できる「不」は何か、など、便益を考えることはとても大切なことで、多くの民間企業はこれを実践しています。
「できること」を提示
実は、設備に限らず、研究指導や技術指導の実績などをしっかりと発信している大学も、決して多くはありません。
研究業績や論文のタイトルは書かれていますが、指導実績があるのかないのかは、企業にとってぜひとも知りたいことです。
企業側からすると、「何が得られるのか」イメージが沸きにくい状態にあるのです。
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研究シーズ集も、大学によってはインタビュー形式にするなど工夫が見られますが、多くは情報を読み取ることが困難で、興味喚起できるものになっていません。少なくとも、研究シーズのタイトルだけでも工夫し、どのような研究なのか興味を沸くコピーを付けていく必要はありそうです。
さらに、大学によっては、ホームページで研究シーズにたどり着くまでに煩雑な導線になっているケースもあります。
このように、企業からすると非常に「情報探索」しづらい状態にあるのです。
これでは購買につながるステップが機能しませんので、いますぐにでも改善が必要です。
研究成果の広報は、アウトリーチ活動としてその重要性が指摘され、多くの大学がプレスリリースやホームページ・広報誌等での情報開示に取り組むようになりました。科学コミュニケーションの領域では、科学そのものをいかに平易に分かりやすく双方向のコミュニケーションとして理解を得るか、リスクとの合意形成をしていくかも射程とし、研究を取り巻く広報活動はずいぶんと様変わりをしました。
ただ、元記者からみると、プレスリリースはもっと記者目線を意識できますし、講演資料は、流れを含めて、もっと分かりやすくしていくことができます。
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誌上セミナー
収入増を実現する産学連携の戦略的広報
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情報探索への対応が喚起したニーズの受け皿になる
これまで見てきたように収入増を目指す産学連携の広報・コミュニケーションで、情報探索は、企業ニーズを喚起した受け皿として重要な部分です。
上記をヒントに検討を進めて、内製できることも多くあります。
大学・研究機関の個別の状況にどのように検討を進めていけば良いのかご興味がある場合は、お問い合わせください。
特に、
- 大手大学で産学連携の収入のテコ入れが必要になっている
- 中小大学で就職対策も見越した企業連携強化を進めていきたい
- 産学連携が一巡してやや頭打ち感があり、次の一手が見えにくい
とお考えの産学連携部門の責任者の方・ご担当者の方には、すぐにお役に立てると思います。
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