誌上セミナー
収入増を実現する産学連携の戦略的広報
購買決定(態度)を構成する3つの要素
広報・コミュニケーション活動のゴールは、対象となる人の行動(態度)を変えることです。
態度は、以下の3つの要素で構成されます。
- 認知
- 評価
- 意欲
ここまでに見てきたフレームで言えば、購買決定の前にあるのは「代替品の評価」です。
情報探索の回で見たように、差別化や便益の訴求によって、個別の大学の産学連携プログラムの認知・評価・意欲は底上げされていきます。
ただし、産学連携を進めるなかで、前提となる「知名度」で悩む大学もあります。
これは、そもそも「情報探索」の際に対象となるのか、仮にそこで対象となったとしても「代替品の評価」で不利にならないか、という大事なポイントです。
大手大学であれば知名度に悩むことはないですが、たとえば運動部の活躍で知名度がどれほど高くても、研究領域に関する具体的な認知がなければ、企業側としては躊躇してしまうこともあります。
ここでは、産学連携部門という組織レベルの広報では解決できず、全学的に検討の枠組みを拡げていくことは避けて通ることができません。
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最近では、大学のコミュニケーション活動は、入試広報と大学広報(法人広報)とが分かれてきました。大学広報(法人広報)は、社会連携として取り組む大学も見られます。
大学広報(法人広報)の打ち手、あるいは学部単位での研究広報も課題を感じる大学は多く、ここの強化に取り組む大学が非常に増えています。
入試広報が重視されるのは当たり前のことですが、入試という限定されたマーケット以外でいかに知名度や研究力・指導力の評価、イメージを上げていくか、これは産学連携に大きな影響を与える部分です。
まずは、現在の情報発信活動は何を出せていて何を出せていないのか、棚卸しをしたり、自己評価・外部評価を得たりしていくことが出発点になります。
実益の創出を目指す企業の目線で評価できると有効です。
おそらく、まだまだ大学側の「発信者目線」が強く、企業側が情報を翻訳し直す必要がある状態に近いでしょう。
たとえばビジュアルを中心にまずは関心を得る工夫をしたり、研究内容よりも指導実績を強調したり、事業創出の側面でどのような拡がりが考えられるのかを示したり、あるいはさらに研究を進めるために「課題」を提示して読み手である企業側の協力姿勢を前のめりにさせるようにしたりするなど、産学連携を前提とした「文脈の作り直し」が欠かせなくなってくるはずです。
情報探索の回でみたように、収入増を実現する産学連携のためにはオーディエンスにアプローチを拡げていくことも必要。
全学広報部門や学部広報担当者が強く連携していくことで、これを乗り越えていくことができます。
入試広報と大学広報が分かれてきていることにも必然性があるのです。
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調査会社などが、大学ブランド調査や大学のイメージ調査をまとめて実施し、その結果を購入することができます。
様々な大学の知名度や心象評価をまとめて尋ねていますので、相対比較ができ、ポジションを確認していくことができます。
一方で、個々の大学の具体的な研究領域や活動内容、情報接触頻度や評価、態度にまで落としたデータはなかなか得ることができません。
現在の大学の知名度はもちろんのこと、具体的に何をどれぐらい知られているのか、どのような評価がされているのかを細かく把握できれば、競合と比較して何を知ってもらわなければいけないのか、情報発信の打ち手が明確になります。
つまり、相対比較ができる大学ブランド調査やイメージ調査とは別に、個別に認知度調査が実施できれば、産学連携部門を起点に全学広報や学部広報との連携を進めやすくなります。
企業が求める情報は何かを探っていくことができれば、マーケティング・コミュニケーションの観点でも、ニーズとシーズの融合がさらに進んでいきます。
情報の受け手側が求める情報と、発信者側が出したい情報の違い、これを価値ギャップと言いますが、このすりあわせが大切です。
マーケティングでは、イノベーションが必要なときに、インタビューや観察、日記調査などの定性的な調査をよく行います。
産学連携もイノベーションを目指すものですので、こうした技法を活用できる場面もあるはずです。
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態度を構成する認知・評価・意欲を測定する
これまで見てきたように収入増を目指す産学連携の広報・コミュニケーションで、企業側の態度を誘発するために、認知・評価・意欲を測定できれば、打ち手が明確になっていきます。
上記をヒントに検討を進めて、内製できることも多くあります。
大学・研究機関の個別の状況にどのように検討を進めていけば良いのかご興味がある場合は、お問い合わせください。
特に、
- 大手大学で産学連携の収入のテコ入れが必要になっている
- 中小大学で就職対策も見越した企業連携強化を進めていきたい
- 産学連携が一巡してやや頭打ち感があり、次の一手が見えにくい
とお考えの産学連携部門の責任者の方・ご担当者の方には、すぐにお役に立てると思います。
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