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自治体広報はこのままで良いのか
ゆるキャラブームは去りつつあり、今度は地方創生予算を基に自治体がPR合戦を繰り広げています。
自治体として、知名度を上げることはとても重要な役割です。
ゆるキャラによって身近に感じてもらったり、愛着をもってもらうことも大切です。
ただ、「花火」を上げる広報ばかりが自治体広報の役割ではないはずです。
一部の自治体は広報戦略を公開しています。
そこで、企業でいう経営計画にあたる「総合計画」と、自治体の広報戦略とが、どれほど結びついているのか、全都道府県、全指定都市を調べました。
総合計画では多くの施策の目標として、住民評価の向上が設定されています。
良い施策をやり、住民がそれを認知し、住民が良い施策だと評価する。
こうした明確な目標になっているにもかかわらず、認知・評価の向上に係る広報的アプローチがあまり描かれていません。
広報は、人と人、組織と組織、組織と人が双方向のコミュニケーションを行うことで、認知・評価・態度を良い方向に変えていくことが主業務です。
良い施策をやって、住民の評価を得ようとしているのに、広報的アプローチが検討されていない現状は、あまりにももったいないのではないでしょうか。
自治体にとってブランドという言葉は様々な使われ方をします。
地域ブランドを想起する人もいることでしょう。
ブランドとは「約束」であり「信頼」です。
なんらかの便益を確実に得られることが担保されている状態と言えます。
では、自治体にとっての「約束」は何か。
総合計画や地方創生の総合戦略には、街の現状と課題、および問題解決アプローチがほぼ網羅されています。
これらはビジョンの部分に比重が置かれますので、多くの自治体は様々な分野で個別計画を策定しています。
これらの計画は、広く公開しているものですし、策定の過程で意見公募されます。
どのような街をつくろうとし、どうやって解決していこうと考えているのか、住民との約束以外のなにものでもありません。
つまり、自治体にとっての真のブランディングとは、街を良くしていく活動に他なりません。
総合計画や総合戦略で掲げた目標を達成することと同義なのです。
既述のとおり、総合計画では多くの施策の目標設定で、住民の評価の向上が設定されています。
目標達成には、せっかくの良い取り組みを住民から正しく評価してもらえるよう、広報的アプローチが不可欠。
ここを少し底上げするだけでも、大幅に改善されるはずです。
良い街をつくるという足下のブランディングなしに、産業振興も移住・定住もシティプロモーションもシビックプライド醸成も実現できません。
住民の認知・評価と誠実に向き合い、多様なステークホルダーと対話をしながら、良い街をつくること。
あらためて、この基本に立ち戻っていきませんか?
いくつかの自治体の総合計画を並べて読むと、自治体ごとの特徴が見えてきます。
基礎自治体になると顕著です。
ある市では生涯学習に力を入れていて住民から評価も高く、隣の市では生涯学習の充実が課題に挙げられていることもあります。
ところが、やっている施策そのものは大きな違いがない場合もあります。
各部局が取り組んでいることが住民から認知され、サービス利用の対象になる施策ならその利用を促進しなければ、評価に至りません。
総合計画や個別計画で明記した課題と解決手段を着実に実行したにもかかわらず、住民評価を得られずに目標を達成できない、これは極論するとやったことがムダだったことになってしまいます。
このようなお話をすると、住民評価向上のためだけに施策があるのではない、とおっしゃる方がいます。
もちろん、その通りです。
ただ、その論理を前提にする場合は、そもそも住民評価の値を目標として設定しているのはなぜか、その問いにお答えいただかなければいけなくなってしまいます。
自治体職員の方からは「民間とは違う」というお話をよく伺います。
ただ、伺うお話の内容のほとんどは、民間でも同じ悩みを抱えています。
異なる点は、民間企業は競争社会を生き延びなければいけませんので、その悩みを必死になって解決しようと、分からなければ専門家(研究者ではなく実務者)に頼りますし、できるだけ迅速に対処していきます。
住民の多くが「民間」側の人間ですから、「民間とは違う」という言い訳は、住民は内心「民間だって一緒だよ」と思っていて、都合の良い逃げ口上、自治体の評価を下げる一因になっています。
住民にはどうせ分かってもらえない、という意識をどこかに持っていると、それは対面でも媒体を通じても口コミでも、確実に住民に伝わってしまいます。
分かってもらえないのではなく、分かってもらおうとしていない・・・。それでは、行政も住民もどちらも寂しいだけです。
住民の評価と誠実に向き合い、全庁的に広報広聴の底上げをしていきませんか?
全庁的な広聴広報体制の構築に向けて、本来は、広報の専門部署である広聴広報課が、部局の広報活動を支援すべきでしょう。
ただし、広聴広報課が部局広報を支援できる状態にあるのか、理想論ではなくシビアに見ていかなければいけません。
自治体の広報戦略を読み込んでいくと、縦割りをものすごく実感します。
自治体としての全庁的な広報戦略ではなく、広聴広報課の活動範囲に限られているものばかりだからです。
物理的にも心理的にも縦割り状態にあると、情報へのアクセスが容易にできません。
広報戦略をまとめる広聴広報課にとっても、部局の広報課題を拾いに行くことは大変です。
この現状を踏まえた最適解は、必ずしも広聴広報課が部局広報を支援する形ではなく、広聴広報課の活動も部局広報の活動も両方支援する組織を設けることです。
縦割りを最大限活かす発想で対処していくことも必要です。
また、他部署の情報(ここでは事例)にアクセスできないことに関しては、民間企業では当たり前のように社内広報を行っています。
庁内広報は税金を使ってやるべきことなのか。
良い事例を庁内で共有することは、良い施策につながります。これは「必要経費」です。
それでも反対の声がある場合は、手弁当でもやりきるべきです。
なぜほとんどの民間企業がなんらかの社内広報活動を実施しているのか。そこに投資する価値があるからです。
組織の設計や活動の見直しなど「重い」取り組みばかりでは、足を踏み出しにくくなってしまいますね。
あすからでもすぐに出来るもの、意識を変えるべきものをご紹介しましょう。
ここでは「プロポーザル」を取り上げます。
自治体が広報関連で公募するものは、広聴広報課以外も含めると多くあります。
採用案内・ポスターもあるでしょうし、啓発ツールなどもあるでしょう。
最近だと動画作成が多いでしょうか。
広報戦略策定や第三者評価(効果測定)を公募する例も見られます。
これらの中には、提案者側からすると「いったい何を提案したら良いのか?」という公募要領も非常に多くあります。
戦略策定や現状把握・課題整理をして欲しいという案件ならこれでも良いですが、明らかに課題整理や企画のベースすらない状態で公募をしているケースも多くあります。
こうした「行き当たりばったりプロポーザル」をしていると、提案者からあがってきた提案内容は見事なまでにバラバラで、内容・予算を含めて比較できる状態になりません。
一定の路線はつきものだとしても、公募前に課題・企画の整理が十分できていない状態で進めた結果、出てくる成果物は、課題解決につながりにくいのです。なんとなく良いモノだったとしても。
前提にある課題や「やるべきこと」は、どこかのタイミングで必ず明確にしなければいけません。
やるべきことを一緒に考えてもらう公募なのか、なんらかのツール等をつくってもらうだけの公募なのか。
この2つの中間地点の公募は、本来ならあり得えないのではないでしょうか。
アウトカムにつながる良質なアウトプットのためにも、思考停止のプロポーザルは明日からやめるべきです。
選定にかかる時間を含めて、これは行政コストのムダです。
企画・整理がうまく進まないのであれば、その部分を相談できるパートナーもたくさんいます。
実務者の専門家に相談した方が、確実に早い。
民間企業の多くは、そうやって課題を解決しています。
民間と違うとは言わせませんよ!
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お問い合わせに抵抗がある方へ
コンサルタントに問い合わせることは、とても抵抗があるものです。
私自身も、コンサルタントに依頼・相談する側だったとき・・・
- ちょっと話を聞いてみたいけど、何を相談して良いのかうまく言葉にできない。
- 何をどこまで相談したらどれぐらいのコストがかかるのか分からないから怖い。
- コンサルタントに相談する「レベル感」が分からない。
- レベルが低い相談しちゃったら恥ずかしい。
と、とにかく問い合わせフォームに途中まで入力しても止める、ということが良くありました。
立場が変わって実感していることは、「悩みはそもそも主観的なもの」ということです。
どんな悩みでも、悩んでいる人にとっては、とても重く苦しいものです。
つまり、悩みに「レベル」なんてないのです。
多くの人が勇気を出してコンサルタントに相談
コンサルタントの多くも悩みを聞くこと自体が好き
意外にも、実は多くの人が勇気を出してコンサルタントに悩みを相談しています。
そして、多くのコンサルタントが、悩みを聞くこと自体に喜びを持っていて、一緒に解決策を考えること自体が好きなのです。
それでも、もしお問い合わせフォームに入力しづらい場合は・・・
以下の選択肢もご検討ください。