【推薦本】ビジョナリーカンパニー4 自分の意思で偉大になる


「ビジョナリー・カンパニー」シリーズの4冊目で、今回の内容は、10X型(10倍以上)の成果を出した企業の特徴を分析しています。

10X型企業は、次の3つの基準をクリアするものとし、歴史的事例から探しています。

  1. 15年以上にわたって株式市場平均や同業他社を凌駕するなど、真に目覚ましい実績を上げ続けた企業
  2. 制御不能で急ピッチに変化し、不安定で潜在的に有害であるなど、置かれた環境が非常に厳しいのに「1」のような実績を達成した企業
  3. 偉大な企業へ脱皮する前、つまり10X型企業への旅路を歩み始めた当初は歴史の浅い中小企業であり、経営基盤がぜい弱

調査の母数は2万社超!

興味深いのは、10X型の成功を成し遂げたリーダーは、比較対象になった企業のリーダーと比べて、すべての面で優れているわけではないと言います。

  • より創造的というわけではない
  • より先見の明があるわけではない
  • よりカリスマ性があるわけではない
  • より野心的というわけではない
  • より運に恵まれているわけではない
  • よりリスクテーキングというわけではない
  • より英雄的というわけではない
  • より英雄的というわけではない
  • より大胆な手段に打って出ているわけではない

「10X型リーダーは常に不確実な状況に置かれていることを認識している。外部環境は彼ら自身に大きな影響を与えるとはいっても、自ら外部環境を制御できないし、それが将来的にどう変わるのか予測もできない、と認識しているのである。一方で10X型リーダーは、不可抗力や偶発事象によってすべての結果が決まってしまうとも考えていない。自分の運命がどうなろうと、それについては全面的に責任を負うつもりなのだ。つまり、自分の運命を制御するのは自分であるということだ。」

もっと興味深いのは、10X型リーダーの主要な行動パターンを見出している点です。

  • 狂信的規律・・・一貫した価値観、長期目標、評価基準を設け、これを維持するために狂信的規律を導入する
  • 実証的創造力・・・実証的な根拠を蓄積し、決断・行動に不可欠な実証的な基盤を築く
  • 建設的パラノイア・・・いつ何時逆風に見舞われてもおかしくないと考え、準備を怠らない
  • レベルファイブ野心・・・自己を超越した大義のために全身全霊をささげている

言葉がスッと入ってこなくて難しいのですが、ヒントがたくさんあります。

要するに、以下のようなことです。

  • 狂信的規律→ぶれない
  • 実証的創造力→やってみる
  • 建設的パラノイア→油断しない
  • レベルファイブ野心→志が高い

成果を出すために、とても参考になる内容です。

【推薦本】イメージとレピュテーションの戦略管理


イメージに関するフレームや、レピュテーションに関するフレーム、組織ニーズの階層、PR会社への外注に向けて情報を整理できるワークシートなどを所収しています。

理論的な解説は簡素で、フレームはシンプルなものが多くて使いやすいので、実践の場で照らし合わせたりヒントを得ながら使うとよいです。

組織ニーズを5段階の階層にまとめ、必要条件および典型的なPR活動をまとめている図表は極めて有効です。

手元に置いておいて損はない一冊です。

【推薦本】広報・PRの効果は本当に測れないのか?


もう10年近くも前の本になってしまいました。

広報・PRの効果測定は、一般的なものは「報道件数」や「広告換算」です。
「報道記事分析」をする組織もあるでしょう。
ただ、決して科学的といえるものではありません。

広報効果の各種理論をまとめて紹介しているこの本は実践的です。

米国でも活動の定量化に悩んでいる様子を感じることができます。
活動量やリーチ、行動変化まで積み上げていく形になる理論が多いですが、その行動変化のとらえ方まで踏み込んで解説しなければ、「報道件数」や「広告換算」「報道記事分析」にとどまる日本の広報界では通じないかもしれない。

おそらく、一番参考になるのは「目標設定」の考え方の部分です。
効果測定の各種理論よりも、目標設定の方法が理解できれば、それだけで測定すべきことが見えてきます。

広報担当者としては年に1度か2度はぱらぱらとでも読み直すべき本でしょう。

【推薦本】世界の経営学者はいま何を考えているのか


コーポレート・コミュニケーション分野でも非常に参考になります。

たとえば「トランザクティブ・メモリー」。
著者の入山氏はこれについて以下のようにまとめています。

「近年の組織学習研究においてきわめて重要な考え方となっています。それは人の記憶と組織の記憶のメカニズムの違いを説明する決定的な考え方の一つといえます。

その基本発想はいたってシンプルです。トランザクティブ・メモリーとは、組織の記憶力に重要なことは、組織全体が何を覚えているかではなく、組織の各メンバーが他メンバーの「誰が何を知っているか」を知っておくことである、というものなのです。」

簡単に言えば「ノウフー」の表面化と共有化です。
広報・PR、コーポレート・コミュニケーションでは、社内で幅広く人脈を築き、媒体の要望、あるいは社会の要望と社内の人物を適合させていく作業を常にしているはずです。

こうした作業を、社内で共有化していくことが、組織の記憶力を高めていくことにつながり、コミュニケーションの効率化・活性化につながります。

本書では、「ソーシャル・キャピタル」(社会関係資本)についても触れています。
人間関係を資本としてとらえた理論とでも言えばよいでしょう。
この中で「ストラクチュアル・ホール」(構造的な隙間あるいは構造的空隙)という概念を紹介。これもコミュニケーション職で需要な概念です。

「バートが生み出したストラクチュアル・ホールの概念は、現在のソーシャル・ネットワーク研究においてきわめて重要なものとなっています。ストラクチュアル・ホールを多く持つ人は、ネットワーク上に流れる情報や知識をコントロールすることができるようになるため、それを利用して得をすることができる、という考えなのです。」

コミュニケーション職では「得」の部分はいったん横においておくとして、ネットワークとネットワークの間に立ち、情報や知識をコントロールしていくことは間違いなく仕事の一部に含まれています。

逆に言えば、情報や知識がコミュニケーション職に入っていないのであれば、それはネットワークとネットワークをつなぐことができていない、ストラクチュアル・ホールを持っていないということです。

このように、関係性構築を目指す仕事といえる広報・コミュニケーション職こそ読んでもらいたい一冊です。

 

 


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